東寺観智院の襖絵完成記念
 浜田泰介の世界
 「平成の襖(ふすま)絵師」といわれる日本画家、浜田泰介さんの近作を紹介する「東寺観智院襖絵完成記念浜田泰介の世界」が26日(2003年11月)から神戸ポートアイランドポートピアホテルのポートピアギャラリーで開かれる。京都・東寺には、剣豪武蔵が残した襖絵があり、それと並ぶ形で浜田さんの襖絵が僧院を飾る。神戸での個展は3回目。襖絵の下絵を中心に、富嶽図など日本の心の風景を描いた約50点が展示される。12月14日まで。

 ササの葉が揺れ、ススキの穂が月明かりに映える。浜田さんが描く当時の襖絵は、身近な日常の世界が題材だ。
 「武蔵といえば、花鳥風月より、野性味。生きる力だ」。浜田さんは、武蔵ゆかりの襖絵を手がけるにあたり、やはり、武蔵を意識したのだという。
 東寺は、武蔵が一乗寺下がり松の決闘の後、しばらく身を寄せていた地とされる。そのころに描いたという「鷹の図」と「竹林図」の襖絵が、塔頭の一つ、国宝「観智院」の客殿にある。時の移ろいを描く浜田さんの襖絵「四季の図」は、その客殿と隣接する書院を飾る。

 国際日本研究センター顧問の梅原猛さんは、旧知の浜田さんを「旅の画家」と呼ぶ。
 確かに、その画歴を見るだけで、命名の由来がわかる。
 四国・宇和島に生まれ、京都市立芸術大学(現京都芸大)、同大学院で日本画を学ぶ。卒業後はアメリカに渡り、当時、ニューヨークで新風を巻き起こしていたポップ・アート、アクション・ペインティングなどに出会う。アメリカ在住は計10年に及ぶ。
 その影響を受けて、画風は日本画から油彩画、抽象画などへ変わっていく。日本画に戻ったのは、帰国後、自分の居場所を探していた42歳のときだった。
 北海道から沖縄まで各地を旅し、日本全土の風景に挑んだ。毎日1冊、新しいスケッチブックを買い込み、京都や琵琶湖周辺に出かけてスケッチに励んだ学生時代の原点に戻る心境だった。
 ライフワークとする「富嶽図」三百六十六景をはじめ、日本百景、四国八十八ヶ所、西国三十三ヶ所などを次々と完成させていった。

ほとばしる「日本の心」
 
 襖絵は、1992年の京都・大覚寺を皮切りに99年には世界文化遺産の京都醍醐寺の障壁がを制作した。東寺観智院の襖絵は、それに続く大仕事である。
 今回、神戸で紹介されるのは、観智院の襖絵下絵をはじめ、四季折々の富嶽図、草花など50点に上る。 
 「日本の美」のなかからほとばしる生命の息吹と、斬新さ。浜田さんの絵からは。世界に通じる「日本の心」がにじみ出ている。